表皮水疱症とは

知っておきたいこと

表皮水疱症でよくみられる症状

表皮水疱症(Epidermolysis Bullosa:EB)は、①栄養障害型表皮水疱症(Dystrophic Epidermolysis Bullosa:DEB)、②単純型表皮水疱症(Epidermolysis Bullosa Simplex:EBS)、③接合部型表皮水疱症(Junctional Epidermolysis Bullosa:JEB)、④キンドラー型表皮水疱症(Kindler Epidermolysis Bullosa:KEB)の4つの病型があります1。さらに30種類以上のサブタイプ(亜型)に分類され、サブタイプによって症状の度合いや合併症の起こりやすさが異なります。

主な症状2

下記に表皮水疱症のすべての病型でみられる症状を黄色、病型ごとの症状をうす緑色・太字で示します。

栄養障害型

  • 皮膚や粘膜にできる水疱
    (水ぶくれ)
  • びらん(ただれ)
  • 潰瘍
    (傷が深くえぐれた状態)
  • かきむしることによる悪化
  • 皮膚の感染症
  • 爪の変形
  • 手のひらや足の裏が角化して硬くなる
  • 爪の生え変わりが遅い
  • 爪が剥がれる
  • 髪の毛の脱毛
  • 傷あと(瘢痕)
  • 手の指や足の指同士が癒着し(くっつくこと)、動かしにくくなる
  • 乳児の哺乳障害
    (母乳やミルクの飲みが悪い)

単純型

  • 皮膚や粘膜にできる水疱
    (水ぶくれ)
  • びらん(ただれ)
  • 潰瘍
    (傷が深くえぐれた状態)
  • かきむしることによる悪化
  • 皮膚の感染症
  • 爪の変形
  • 手のひらや足の裏が角化して硬くなる

接合部型

  • 皮膚や粘膜にできる水疱
    (水ぶくれ)
  • びらん(ただれ)
  • 潰瘍
    (傷が深くえぐれた状態)
  • かきむしることによる悪化
  • 皮膚の感染症
  • 爪の変形
  • 手のひらや足の裏が角化して硬くなる
  • 爪の生え変わりが遅い
  • 爪が剥がれる
  • 髪の毛の脱毛
  • 傷あと(瘢痕)
  • 乳児の哺乳障害
    (母乳やミルクの飲みが悪い)

キンドラー型

  • 皮膚や粘膜にできる水疱
    (水ぶくれ)
  • びらん(ただれ)
  • 潰瘍
    (傷が深くえぐれた状態)
  • かきむしることによる悪化
  • 皮膚の感染症
  • 爪の変形
  • 手のひらや足の裏が角化して硬くなる
  • 傷あと(瘢痕)

こんな症状があるときは主治医にご相談ください

次のような合併症が疑われる症状がみられたら、主治医にご相談ください。

  • 足が痛くて歩きづらい
  • 口が開きにくい
  • 歯が正常に生えてこない、歯に異常がある
  • 目が開きにくい
  • 目を開くときに痛みがある
  • 目が閉じにくい
  • 下まぶたが外側にめくれてきた
  • 本が読みにくくなった
  • 目の状態が以前より悪くなった
  • 食べ物が飲み込みにくい
  • 運動したり階段を上ったりすると以前より息が切れるようになった
  • 貧血

病型およびサブタイプごとの症状

代表的な病型およびサブタイプごとに、よくみられる症状を紹介します。ご自身やご家族が診断された病型およびサブタイプをご確認ください。

栄養障害型表皮水疱症(DEB)って?

下記に代表的なサブタイプとその症状を紹介します。

顕性型けんせいがた3
手、肘、膝、足など外部から力が加わりやすい部位に水疱が生じやすく、びらんとなった後、皮膚が再生しても傷あと(瘢痕はんこん)が残りやすくなります。一方で、比較的症状が軽い型です。
潜性中等症型せんせいちゅうとうしょうがた4
全身に水疱や傷ができやすく、皮膚だけでなく粘膜にも症状が起こりやすいです。貧血もよくみられます。
手や指には瘢痕はんこんや軽い癒着ゆちゃくが起こりやすいですが、完全な癒着ゆちゃくは少ないとされています。潜性重症型せんせいじゅうしょうがたより頻度は下がりますが、有棘細胞癌ゆうきょくさいぼうがん※1の発症リスクは高いです。
潜性重症型せんせいじゅうしょうがた3
全身の至るところに水疱、びらん、瘢痕はんこんが生じます。次々に水疱やびらんができるために、腰や背中の皮膚は完全には戻りません。関節の動きが悪くなる、食道が狭くなる、口が開きにくくなるなどさまざまな合併症を起こしやすい型です。早ければ10歳代から有棘細胞癌ゆうきょくさいぼうがん※1が発症し、その後は徐々に多発します。

単純型表皮水疱症(EBS)4って?

単純型表皮水疱症(EBS)では、汗をかくことで摩擦が起こり、水疱ができやすくなります。そのため、暑く湿度の高い環境では、症状が悪化しやすくなります。下記に代表的なサブタイプとその症状を紹介します。

①限局型
主に夏に手足に水疱ができます5
中等症型ちゅうとうしょうがた
より広範囲に水疱ができたり、皮膚が剥がれることがあります。主に手足と衣服が擦れる部分に症状が起きやすいです。
重症型じゅうしょうがた
水疱は同じ箇所に複数発生することが多く、皮膚だけでなく、爪の下や爪の周囲、口の中やのどにもできます。
青年期には水疱の形成が減少していき、手のひらや足の裏に角化症(皮膚が硬くなる症状)を生じることが多くなります。
④筋ジストロフィー合併
皮膚症状は軽いこともあります。筋ジストロフィーの発症は、幼児期から成人後までと幅広く認められます。

接合部型表皮水疱症(JEB)って?

接合部型表皮水疱症(JEB)に共通してみられる症状は、歯の一番外側の硬い膜(エナメル質)の異常です3。下記に代表的なサブタイプとその症状を紹介します。

①中等症型4
多くの場合、成人まで成長することができます。過去に生じた水疱やびらん部位の萎縮いしゅく※2、爪の変形、瘢痕性脱毛はんこんせいだつもうが成人後もみられます。
②重症型5
出生時は限局していた水疱やびらんの形成が全身に拡大してきます。水疱やびらんは、のどや消化管にもみられます。
重症型はEBの中でも特に重篤であり、乳児期において生命予後に大きな影響を及ぼすことがあります。
幽門閉鎖症合併ゆうもんへいさしょうがっぺい4, ※3
皮膚だけでなく、消化管や泌尿生殖器系にも症状が現れ、乳児期から重篤な経過をたどることがあります。

キンドラー型表皮水疱症(KEB)6-8って?

この型は非常にまれであり、ほかのEBのサブタイプと混同されやすく、診断が難しい病型です。水疱、皮膚の萎縮いしゅく※2、傷が治りにくいなどの症状がみられます。新生児期から軽い力によって水疱が生じ、皮膚が広範囲で剥がれたり、広範囲にびらんができたりします。

乳児期を過ぎると水疱は減少する傾向があります。ですが、成長するにつれて光線過敏症※4や、皮膚に色素変化やまだら模様といった症状が生じやすくなります。そのほかにも、歯周炎や食道が狭くなる、乳児期の吸収不良、下痢、尿道が狭くなるなどの症状もみられます。

  • ※1有棘細胞癌ゆうきょくさいぼうがん
    皮膚にできる腫瘍で、皮膚の「表皮」(一番外側の層)の中にある有棘層という部分の細胞が悪性化してできる腫瘍。
  • ※2萎縮いしゅく
    細胞や組織の減少によって、臓器や組織の容積が小さくなる状態。
  • ※3幽門ゆうもん
    胃の出口で十二指腸にうつる部分。
  • ※4光線過敏症
    健康の方では問題ない程度の日光でも、過敏に反応して皮膚に炎症が起きる状態。

参考文献

  1. 1)Has C, et al. Br J Dermatol. 2020 ; 183(4) : 614-627.
  2. 2)難病情報センター. 概要・診断基準等 表皮水疱症(指定難病36) https://www.nanbyou.or.jp/entry/5339
  3. 3)石河 晃. 皮膚科. 2024 ; 5(1) : 15-21.
  4. 4)Denyer J, et al. Best practice guidelines for skin and wound care in epidermolysis bullosa. London : Wounds International, 2017. 
  5. 5)Fine JD. Orphanet J Rare Dis. 2010 ; 5 : 12.
  6. 6)Fine JD, et al. J Am Acad Dermatol. 2009 ; 60(2) : 203-211.
  7. 7)Lai-Cheong E, McGrath A. Dermatol Clin. 2010 ; 28(1) : 119-124.
  8. 8)Lai-Cheong E, McGrath A. Skinmed. 2011. 9(3) : 145-146.
監修
夏賀 健(なつが けん)先生
北海道大学大学院 医学研究院 皮膚科学教室 准教授

監修医について

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