表皮水疱症とは

知っておきたいこと

表皮水疱症って、一体どんな病気?~水疱と病型のキホン

表皮水疱症とは?

表皮水疱症(Epidermolysis Bullosa:EB)は、皮膚の「骨組み」や「のり」の役割を担うタンパク質の遺伝子に異常があり、その結果、これらのタンパク質の働きが正常よりも弱くなります。そのため、皮膚にわずかな力が加わるだけでも皮膚が剥がれて水疱(水ぶくれ)やびらん(ただれ)、爪が剥がれるなどの症状が生じる病気です1

出生時または乳児期に発症し、生涯にわたり水疱やびらんを繰り返す遺伝性疾患です2。皮膚を地面と建物に例えると、EBでは土台の部分が弱いため、建物が繰り返し崩れる状況です。これが患者さんの皮膚にみられる水疱やびらんとして現れます。

表皮水疱症(EB)の種類

EBにはさまざまな病型があり、水疱ができた深さによって①栄養障害型表皮水疱症(Dystrophic Epidermolysis Bullosa:DEB)、②単純型表皮水疱症(Epidermolysis Bullosa Simplex:EBS)、③接合部型表皮水疱症(Junctional Epidermolysis Bullosa:JEB)の3つに分類されます。さらに、水疱ができる部位には関係なく、ほかの特徴的な所見で診断される④キンドラー型表皮水疱症(Kindler Epidermolysis Bullosa:KEB)を含めた4つの病型があります3。サブタイプ(亜型)も含めると30種類以上の病型があり、少なくとも17の原因遺伝子が明らかになっています4

病型によっては、皮膚だけでなく消化管や筋肉、腎臓にも合併症がみられる場合や、栄養障害や貧血が生じることもあります。適切な治療を進めていくため、正確な病型診断を受けることが重要です3, 5

【表】表皮水疱症の種類(病型)、水疱ができる部位、関わる遺伝子、影響を受けるタンパク質
病型 サブタイプ 水疱ができる部位 関わる遺伝子 影響を受けるタンパク質
栄養障害型 顕性型 真皮内
水疱ができる部位:真皮内
COL7A1 7型コラーゲン
潜性重症型
潜性中等症型
単純型 限局型 表皮内
水疱ができる部位:表皮内
KRT5
KRT14
ケラチン5
ケラチン14
重症型
中等症型
筋ジストロフィー合併型 PLEC プレクチン
幽門閉鎖症合併
接合部型 重症型 透明層
水疱ができる部位:透明層
LAMA3
LAMB3
LAMC2
ラミニン332
中等症型 COL17A1 17型コラーゲン
LAMA3
LAMB3
LAMC2
ラミニン332
幽門閉鎖症合併 ITGA6
ITGB4
α6β4インテグリン
キンドラー型 混在 FERMT1 キンドリン1

石河晃他(2017)、Has C, et al. (2020)、難病情報センターより作成

患者数は?

日本の患者数は未登録者や未受診者も含めて1,000~2,000人と推定されるまれな疾患であり、厚生労働省の指定難病にも登録されています5, 6。指定難病の審査を受けるには、確定診断と病型診断が必須条件となります。また、中等症以上の重症度である場合に、認定されます3, 4

参考文献

  1. 1)稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究班. 表皮水疱症Q&A【一般・患者さん向けパンフレット】(2014)
  2. 2)石河 晃, 吉田憲司. 皮膚科の臨床. 2017 ; 59(6) : 822-829.
  3. 3)夏賀 健. 難病と在宅ケア. 2023 ; 28(10) : 49-51.
  4. 4)難病情報センター. 概要・診断基準等 表皮水疱症(指定難病36) https://www.nanbyou.or.jp/entry/5339
  5. 5)日本小児科学会. 移行期医療における疾患別ガイド 表皮水疱症(2024) https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20240130_GL052.pdf
  6. 6)石河 晃. 小児診療. 2015 ; 78(11) : 1593-1596.
監修
夏賀 健(なつが けん)先生
北海道大学大学院 医学研究院 皮膚科学教室 准教授

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