表皮水疱症について
表皮水疱症の治療
表皮水疱症の治療は、現在も研究が進められていますが、根本的に治す方法は確立されていません。そのため、現時点では皮膚にできる水疱やびらんへの対症的な処置が主な治療となっています。繰り返し発生する水疱やびらんに対しては、脆弱な皮膚に十分配慮しながら、在宅で毎日適切な局所処置を行う必要があります1。材料費が高額になるため、在宅処置を継続するには、指定難病の医療補助を受けられる体制を整えることが重要です。また、連日の創傷処置が必要となり、重症型の場合には処置に1~2時間かかることも珍しくありません。ご家族の負担を軽減するため、訪問看護などの支援も必要となります2。
主な処置1
- ① 前日に使用したガーゼや被覆材をはずし、入浴やシャワーで毎日患部を清潔に保ちます。通常、消毒の必要はありません。
- ② 新たにできた水疱は、注射針や曲剪刀を用いて内容液を排出し、水疱の蓋は保存します。
- ③ ワセリンやジメチルイソプロピルアズレン軟膏などを塗布したガーゼや非固着性ドレッシング材を貼り、その上に創傷被覆材※を貼り、筒型包帯や伸縮包帯などで固定します。
- ※創傷被覆材は医師の処置で使用する場合、保険で費用が償還されます。EBの場合には「C114在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料」を算定することで、在宅で使う創傷被覆材の費用も個別に保険請求できます。
- ④ 感染が起こった場合には、抗菌薬の内服や外用で対応します。
再生医療等製品による治療
現在、以下の再生医療等製品による治療が行われています。
ヒト脂肪組織由来の間葉系幹細胞を用いたシートの貼付
難治性または再発性のびらんや潰瘍を伴う栄養障害型、接合部型、さらに単純型(重症型に限る)の表皮水疱症の患者さんを対象に、びらんや潰瘍部分に週1回貼付し、再上皮化を促します。
自家培養表皮細胞シートの移植
栄養障害型または接合部型表皮水疱症の患者さんにおいて難治性や再発性の潰瘍がある場合、患者さん自身の健康な皮膚から組織を採取し、細胞を培養してシート状にしたものをびらん部に移植する治療法です。
遺伝子治療用製品の投与
栄養障害型表皮水疱症の患者さんの潰瘍部に週1回塗布し、正常なタンパク質(Ⅶ型コラーゲン)の遺伝子を皮膚の細胞に届け、傷の治癒を助けます。
参考文献
- 1)石河 晃. 皮膚科. 2024 ; 5(1) : 15-21.
- 2)日本小児科学会. 移行期医療における疾患別ガイド 表皮水疱症(2024)
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20240130_GL052.pdf - 3)Matsumura W, et al. J Invest Dermatol. 2019 ; 139(10) : 2115-2124.e11.
- 監修
- 石河 晃(いしこう あきら)先生
東邦大学 皮膚科学 表皮水疱症再生治療学講座 教授